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東京試合役員会議事録
日時:平成28年12月15日(木) 18:30〜
場所:JBC本部事務局
出席者
レフェリー:安部、土屋、葛城、中村、飯田、岡庭、山岸
アナウンサー:冨樫 、佐々木
タイムキーパー:高橋、松原、野中、藪亀     
スーパーバイザー:熊崎           JBC:浦谷、羽生
 

【健康管理に関する件 及び 試合運営に関する件】

■平成28年11月21日 後楽園ホール 60.0kg契約 8回戦
太田啓介(レパード玉熊) vs 中嶋龍成(山龍)
中嶋の判定勝ち

試合後、判定勝ちした中嶋選手が医務室で体調不良を訴え、慈恵医大へ診察に行く事態となった。幸い異常無しで退院したが、このように試合に勝った選手でも試合後に気分の悪化を訴えることがある。ボクシング関係者においては、試合の勝敗にかかわらず常に試合後の選手の容態に注意を払い、気分の悪化や頭痛の発生などが起こらないか十分気をつけなければならない。


【試合における事故の根絶に関する件】

■レフェリー判断をサポーツする態勢及び体制の構築<継続審議>
試合中、ストップのタイミングに迷うレフェリーに対し、スーパーバイザーが何らかの方法でレフェリーに対しストップを促すことはできないか。

プロテストの実技試験(スパーリング)で既存の機器を用い試験的に導入してみてはどうかという意見が出た。


【レフェリング・ジャッジに関する件】

■反則行為をしながらパンチを繰り出す選手に対する採点基準
パンチを出した後に頭を相手に向け突き出す、または頭を相手に向け突き出した後にパンチを出すなど、攻撃と反則がセットになっているような場合は、たとえ頭が相手に当たっていなくとも、突き出される頭を避ける行為に捉われ後ろに下がる等、本来のボクシングが出来ないことは不公平となることから、頭を突き出す選手に減点はせずとも攻勢点をつけることはしない、という以前取り決めた以下の申し合わせ事項を再確認した。

平成25年10月3日 試合役員会での合意事項(Web公表)
ヘッドバッティング
2.ジャッジは、ヘッドバッティングを伴う加撃については有効打及びアグレッシブが認められたとしても採点上評価しない。また、リングジェネラルシップの観点ではマイナス評価を課す。


■反則等への対応について
ラウンド中、選手にのみ聞こえるような小さな声で反則などを注意するレフェリングが散見されるため、観客等見ているものが(注意していることが)分かるような明確な注意の仕方の励行が確認された。


「ビデオ検証」

■ダウン後のパンチに対する対応について
平成28年11月29日 後楽園ホール 56.0kg契約 4回戦
鳥山慶樹(古口) vs 加藤広大(戸高秀樹)
加藤の判定勝ち
 第2ラウンド、加藤のパンチが当たり鳥山が一瞬右ひざをマットにつけた。鳥山はすぐに体勢を立て直したが、レフェリーがダウン宣言した直後の加藤の後続パンチで完全にダウンした。鳥山へは休憩を与え試合再開となった。
このような微妙な判断を要する場合、後続のパンチが故意か故意でないかや、ダメージの多寡など判断すべき事項はあるが、レフェリーのダウン宣言後に加撃をした選手がその後の試合を有利に展開するのは不公平となるので、このような場合であっても、今後基本的に減点を科すべきである。

■ストップのタイミングについて
平成28年12月3日 後楽園ホール スーパー・フライ級 4回戦
堤アキラ(帝拳) vs 川島克彦(将拳)
川島の4R2’44”TKO勝ち(レフェリーストップ)

試合前半から堤選手の口が開いていて、口の内外に赤い血が見え下顎部骨折が疑われたため、3ラウンド終了後のインターバルでドクターチェックを仰いだところ、「明確な骨折の症状は見受けられない」旨の診断となった。そこでレフェリーは試合を続行させたが、堤選手は変わらず赤い口を開けたままのラウンドとなり、第4ラウンド堤選手の顎に川島のパンチがヒットした2分44秒、レフェリーは試合をストップし川島のTKO勝ちとした。
3ラウンド終了後のドクターチェックで明確な骨折の症状は見受けられないとの診断が下されたにもかかわらず、第4ラウンドにレフェリーが顎の負傷を理由に試合をストップしたことには矛盾があるとし抗議があったもの。

【検証内容】

映像で見る限り、堤選手が第2ラウンドに川島選手のアッパーを受けたあたりから口を開くようになり、第3ラウンドでは口内に赤い血が見えるようになった。過去の試合からも、選手がこのような状態で口を開けたまま試合をする場合は下顎部骨折となっているケースが多く、第3ラウンド終了後にレフェリーが堤選手の顎の骨折を疑いドクターチェックを仰いだことには妥当性がある。
この時点でドクターが「骨折はしていない」と述べたとのことだが、それは下顎の左右が上下にずれているといった明らかな骨折の所見は認められないという意味であり、骨に起こった「ひび」などまでは短いインターバル内で診察し判断することは不可能と言える。
第4ラウンドにおいても、堤選手の口は閉じることなく、川島選手のアッパーやフックが度々顎に当たる度に、赤い血が口外に漏れ出血が多くなった。第3ラウンド終了後のインターバルでは明らかな骨折の兆候は無かったとしても、この時点でそれまでに起こっていた可能性がある「ひび」が大きくなり初めて骨折したことを疑うことは、安全管理が最重要業務であるレフェリーとして当然であり、その判断は尊重されてしかるべきである。
マウスピースを装着しているとはいえ、口を開いたままボクシング競技を行うことは、パンチをうけた際のダメージの甚大さはもちろんのこと、一撃で顎の骨折を容易に誘発することにも繋がり、極めて危険なことであることは言うまでもない。
故に、最終ラウンド終了近くに、堤選手が川島選手の左フックを受けた時点で、レフェリーが改めて堤選手の顎の骨折を疑うか、顎の負傷の重篤化を懸念して試合をストップしたことは、レフェリーの本来の業務である安全管理、事故防止の方針に沿ったものであり、その判断に瑕疵は見受けられない。
しかしながら、試合を観る観客に対し「顎の負傷(の懸念)によるストップ」という説得力を持たせるためにも、ストップする前に今一度リング上でドクターチェックを仰ぐことは円滑な試合運営のためにも重要であり、今後の課題とすべきである。
以上